婦人科疾患における漢方薬の役割その①。PMS、月経困難症、月経不順の症状改善。
女性は女性特有のホルモン変動により身体の状態が変化して様々な症状や疾患が現れます。
そんな婦人科疾患で最も症例が多いのがPMS(月経前症候群)です。
他にも、月経困難症、月経不順など。月経前後の不快な症状に悩まされている方は多いかと思います。
ホルモンバランスの崩れによるこれらの症状を、男性の方が理解するのはなかなか難しいことだと感じています。
うちの嫁もPMSに悩まされています。
その時はいつもと様子が違うことが自分から見てもはっきりとわかります。
体調が悪そうだし、機嫌も悪そうだし、ちょっとのことで泣きそうになったりすることも。
初めのころはこの状態の嫁に対して接し方がわからず、よく怒らせたり泣かせてしまったりしてました(汗)
この状態について自分があまりにも知ろうとしなかったのです。
後々嫁からPMSってものがあるんだよと教えてもらって、PMSについて初めて知ることができました。
男性側としてもPMSについてちゃんと知っておく必要があります。
そしてその症状を理解して接してあげることが、二人の関係を保っていくのに大切なことなんだなーと感じているのです。
話を戻しますが、
漢方では古来から女性に対する医療を重んじていて、それらに対して有効な漢方薬を作ってきました。
なので漢方にとって婦人科疾患は得意分野なのではないかと考えております。
西洋薬ではPMS、月経困難症、月経不順の対応がなかなか難しいですが、漢方では対応した処方がちゃんとあります。
頻用処方としてはこの3つ。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
これらは体質、体格、症状で使い分けします。
- 当帰芍薬散は、体が細く虚弱で疲れやすい人。冷え性、めまい、浮腫、貧血、低血圧がある人に向いています。
- 桂枝茯苓丸は、体格として普通の人で、手足の冷え、顔面紅潮、下腹部の抵抗圧痛を伴う人に向いています。
- 桃核承気湯は、ややがっしりした体形の人で、手足の冷え、月経痛、便秘傾向、イライラを伴う人に向いています。
漢方の考え方でざっくり言わせてもらうと、虚証~中間証の人は当帰芍薬散、中間証は桂枝茯苓丸、中間証~実証は桃核承気湯と言う感じで選んでもらうと良いかと思います。
初めはこの3つの中から選択するのがセオリーでしょう。
この3つでうまくいかなかった場合には、他にも選択肢はあります。
- やや虚証で冷えているが手のひらのほてりと唇や皮膚の乾燥がある人は温経湯(うんけいとう)
- 虚証で手足の冷えが顕著で、冷えによる腹痛、頭痛、腰痛などを伴っている場合は当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
- やや虚証~中間証で過多月経による出血が長引いて出血傾向にある場合は
芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう) - 虚証で当帰芍薬散で月経痛が改善できない場合。月経痛が月経期間全体にあるか、月経終了時に悪くなる場合は、当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
- 体力に関係なく月経痛の頓服として用いる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
- 中間証で月経前のイライラが強い場合や普段からイライラや興奮、不眠などがある場合は抑肝散(よくかんさん)
これらは適切に使うことでPMS、月経困難症、月経不順の改善にはとても有効だと思います。
薬を選ぶときに肝心なのは、自分の体格や体質をわかった上で選択することです。
虚証か実証か、またはその間の中間証か、
まずはここから理解していくことが大切です。
漢方ではPMS、月経困難症、月経不順の症状の改善が期待できます。
漢方薬もよいですが、それと同じくらい周りの理解も大切なことなんだと感じています。
つらい時に周りがしっかりとサポートしてあげることで、症状が悪くなることを抑えることができる。
医学的な根拠はないですが、メンタル面をサポートすることは絶対いいに決まってる!私としてはこっちの方が効果が高いんじゃないかって思っちゃったりしています。