頭痛に効く漢方薬をいろいろ紹介します。
頭痛に有効な漢方薬。
目次
頭痛の種類と対処法について
頭痛にはいくつか種類がありますが、
明らかにいつもと違う激痛が急激に現れた場合は危険な病気の可能性があります。
こうした場合は直ぐに医師の診察を受けて、西洋医学の治療を受ける必要があります。
薬での対応は不可能です。
薬での対応が可能なのは、
片頭痛、緊張性頭痛のような慢性的な頭痛になります。
このような頭痛には一般的に痛み止め(NSAIDs)による治療が主流です。
前回NSAIDsについての有効性について話をしましたが、NSAIDsにも欠点があります。
それは連日使っていると効き目が弱くなったり、ほとんど効かなくなるような状態になることがあります。
これは薬の使い過ぎによるものです。
その症状を薬物乱用頭痛と言っています。
薬が効いていないのではなく、その薬自体が頭痛を引き起こしてしまっているのです。
こうした薬物乱用頭痛を起こさないために、または薬物乱用頭痛を脱するために有効なのが漢方薬による治療になのです。
片頭痛に有効な漢方薬
片頭痛の原因は脳内のセロトニンが不足しているためと考えられています。
西洋薬のトリプタン製剤はセロトニン様の作用を持つことから片頭痛に効果があるとされています。
トリプタン製剤は有効な薬ですが、やはり薬物乱用頭痛になることがあるのです。
冷え、吐き気、みぞおちの痛みなどを伴う片頭痛に有効です。
構成生薬は呉茱萸、生姜、人参、大棗の4つだけ。
主薬の呉茱萸はミカン科のゴシュユの果実です。
この中にはエボジアミンという成分があり、これが脳内のセロトニンの取り込みを高めることで片頭痛を和らげるみたいです。
エボジアミンはセロトニンと同じ骨格を持っているため似たような作用を示すのだと推測しています。
生姜は冷えを解消し、人参と大棗は滋養強壮の効果が期待されます。
人参が含まれているため一般的には高血圧、熱感を伴う頭痛には使いません。
この呉茱萸湯。私もよく飲むのですが、
強烈に苦いです。
初めて飲む人はみなこの苦さに驚くと思います。
即効性はあまり期待できませんが、
片頭痛の頭痛もちの方の体質改善にはとても有効な薬であると思っています。
片頭痛を持っていて更に体の冷え、手足の冷えが著しい方には
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
がお勧めです。
これは頭痛だけでなく体が温まりますよ。
片頭痛には体内の水分バランスが崩れていることが原因であることがあります。
むくみ、口渇、尿量減少、二日酔いなどを伴うケースです。
これは漢方では水滞(水毒)といい、これに有効なのが五苓散です。
この五苓散は水滞にはとてもよく効く薬なので、このような頭痛には最適な薬だと思います。
緊張性頭痛に有効な漢方薬
緊張性頭痛は一般的にはNSAIDsによる治療ですが、漢方では主に葛根湯を用います。
葛根湯って風邪の薬じゃないの?
と言われてしまいそうですが、肩こりの薬でもあるのです。
肩こり=葛根湯
と言っても過言ではないでしょう。
緊張性頭痛は首や肩のこりによって血流が滞ることが原因の一つのなっています。
葛根湯はそれを改善する力があるのです。
おそらく、構成生薬の芍薬と甘草が効いているものと考えられます。
芍薬と甘草だけの処方である芍薬甘草湯もこむら返りの特効薬として有名ですから。
芍薬甘草湯はこむら返りにはビックリするくらい効きますよ!
あと高血圧を伴っている緊張性頭痛には釣藤散が有効です。
この処方に含まれている生薬の釣藤鈎は高血圧や脳血管障害に特に有効であることが分かっています。
私の母も高血圧ですが、釣藤散を薦めたところ高血圧の症状が緩和されて楽になったと言っていました。
瘀血(おけつ)による頭痛に有効な漢方薬
瘀血とは体内の血の巡りが悪くなり、血が汚れている状態になることです。
瘀血になることで、女性特有の症状「血の道症」により多くの不快な症状が発生します。その一部に頭痛があります。
頭痛以外の症状により、漢方薬を使い分けるとよいと思います。
・更年期障害、不安、イライラを伴うときは加味逍遥散
・のぼせ、めまい、を伴うときは桂枝茯苓丸
・便秘を伴うときは桃核承気湯
桃核承気湯のような下剤を含む漢方薬は妊婦さんには慎重投与が必要になります。
桂枝茯苓丸も牡丹皮を含むため妊婦さん慎重投与が必要です。
これらは気を下に降ろす作用があるためです。
今回は頭痛の症状に合わせてたくさんの漢方薬を紹介しました。
基本的には痛みを直ぐに抑えるというよりも、痛みを起こしてしまう体質を改善する目的で使用することになります。
なので即効性はあまり期待できませんが、続けていくことで効果を得られるものと思ってます。
まずは自分に適した薬を見つけること、そして続けることが大事なことなんだと思います。