the astonishingはドリームシアターの最高傑作!
ドリームシアターといえばテクニカルなプログレメタルの印象が強い。
なのでリスナーも新作が発表されればスリリングな演奏を期待してしまうし、彼らも今までその期待を裏切ることはなかった。
そんな中で発売された「the astonishing」は彼らの代名詞であるスリリングな演奏が全く無いと話題になり、あまりのリスナーの評価の低さに驚いたものである。
なのでこのCDを購入するかを正直とても迷いました。
ここ最近のドリームシアター「DT」の作品ははっきり言ってあまり好きではなかった。
「Systematic Chaos」「Black Clouds & Silver Linings」はマイキー色が強すぎて印象的なメロディーがほとんどなかった。
そこでマイキーが脱退すると聞いてその後の作品に大きく期待を寄せたものである。
「Dramatic Turn of Events」ではその期待に応え、マンジーニ加入後としてはなかなかの良作を作り出したと感心した。明るく爽やかな印象がありマイキーの呪縛から解放された感が感じられました。
一方で思い切りの良さがなくマンジーニも控えめな印象があり、少し物足りなかった印象でした。もっと思い切って変化させてもいいのにと…
そしてマンジーニ加入後2作目となる「dreamtheater」には物凄く期待を寄せていたけど、聴いてみたらガッカリの一言。
何がしたいのかさっぱり理解できない
ヘビーな曲あり、ポップな曲あり、だらだらと長い曲ありと統一感ない作風、しまいには音質も良くないし。
こんなんだったらシンフォニーXの方がずっと良いもの作れますよ!
と感じたものです。
こんなこともあり本作「the astonishing」にはほとんど期待をしていなかった。
でも今まで全ての作品を聞いてきたので、2か月くらい迷ったあげくとりあえず買ってみるかーということになりました。
早速聴いてみて、
あっ、確かにこれはみんなから批判されてもしょうがないな~
と正直思いました。
ミドルテンポの曲がずっと続く抑揚のない展開、スリリングなバトルはほとんど無し!
DTらしさがあまり無い作風にみな肩透かしを食らったのではないでしょうか。
でも自分は一聴して「これはこれでアリだな」
と感じました。
何故かって最近のDTのマンネリ化といったらどうしようもなくって、おそらく同じような作風で来られても間違いなく好きになれなかったと思ったから。
このくらい思いっきり変化させてくるとは、逆に面白いじゃんって
とはいえこの作品、何回聴いてもパッとしない。
DTのイメージにとらわれ過ぎているせいか、無意識に受け入れるのを拒んでいるのかも。と思ったので、あまりDTと思わないで何となく聴いてみることにしました。
そしたら不思議!
聴いていくうちにどんどん良くなってくるじゃあないですか!
美しいメロディー、ラブリエの歌唱力と表現力、ストーリーを見事に再現している演奏力。特にメロディーは過去最高です。
この作品にはテクニックなど必要ない。音楽を純粋に楽しむ娯楽として最高の作品を作ったと
DTはとうとう円熟の境地に達した!
間違いないです。断言します。
この作品を受け入れられない人は「I&W」の幻影にとらわれすぎなんですよ。
おそらくね
スリリングな曲を聴きたければ昔の作品を聴いていればいいのですよ。
もうとっくにDTは完成されている音楽なのだから。
そんな中で彼らは新しいことにチャレンジし続けている。
この姿勢には頭が下がります。
これからも今までにない作風の音楽にチャレンジしていってもらいたいものである。
「the astonishing」:ドリームシアター
95点!